散歩道<2725>
                     希望は女性にあり  新春対談・吉田秀和さん*丸谷才一さん(1)           (1)〜(4)続く
  
      1、新しい流域を描ける(文学)・2、母権的なもの現代にも(6千年ぶりの転換期)、3、男が縮まってきた(時代を変える力)。

1、新しい流域を描ける(文学)
・・・・こんな重苦しい年明けの雰囲気を経験されたことありますか?   
吉田 第1次大戦の後、日本経済がつらい時期があった。母が銀行ほど怖いものはない、借りたお金を返さないと身ぐるみはがれちゃうと母が話していたのを思い出す。もう一つは敗戦直後、暗くて当たり前とおもったのはあの食べ物もない時の方が子供のときにく比べバイタリティーはあった。
もう少し日本がギュッと締め付けられ、辛くなると、「そうでもないよという」というところがきっとでてくる。
・・・・その望みとは?
吉田
 女性の進出がもう少し盛んになってくること。ぼくにとって日本の最大のホープは女性達。世界の趨勢がそうでしょう。音楽でいえば、ベルリン・フイルのようなオーケストラからベネズエラ
*1の子供のオーケストラまで、1流、先進国、新興国を問わず、女性のメンバーが半数を超えそうな勢いです。かって男ばかりのときと比べまったく見劣りしない。だから他の分野でも類推できる。文学だってそうでしょう。
丸谷
 川上弘美さん、高樹のぶ子さん、江国香織さんそのほか、エネルギーが豊富だし、新しい領域を描けている、男の作家は今までの繰り返しになりがちである、女性は女性の生活が新しくなってきたから、題材が多い、戦前の女性は。教育勅語的な倫理に逆らう人生の冒険者として、頑張って生きて、それを報告するという性格が強かった。林芙美子とか、平林たい子とか。それが変わってきて、洗練されてきた。
吉田 なんでですかね?今までの蓄積ですか。男が威張っていた時に、女性達が力を見せないで蓄積していたのですか。
丸谷 男の作家を中心としてやってきた日本の戦後文学というのは方法論的な意識が強くて、観念臭が強く、こわばったものがおおかった。今の女性作家達は、純文学と大衆文学という制度を無視してかかってます。因習に支配されない。
吉田
 戦後、すぐ出てきた傾向として覚えているのは、日本の小説はだめで、ヨーロッパの小説のようでなきゃいけない。何がだめかというと、一つには「日本の小説には思想がない」と。そうでしたね。
吉田
 女子に思想がないはずがないのに、思想というと男のものみたいに思った。そういう浅薄なところがあった。
 
 
'09.1.1.朝日新聞・
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備考:町内会での女性の活躍を見れば、男性の存在のなさが目につく。