散歩道<2703>

                      インタビユー・金融危機「多国間」視野に発信を(2)              (1)〜(2)続く

・・・・オバマ氏が大統領に当選したことの影響は。
 「ブッシュ政権下で米国のイメージは劣化し世界の敬愛や信任が失われた。『人種や文化の多様性を保ち、公正な機会を与え、自分の夢に挑戦できる』という米国の理念を訴えるのに、オバマ氏ほど適した人物はいない。彼は米国を変え、国際社会との協調と対話を重視せざるを得ない。大恐慌後のように金融に縛りをかけ、ニューディール政策を模した新しい産業活性化政策を取らざるを得ないだろう」
・・・・・国際協調に弾みがつく、とみていいですか。
 「これまでの国際協調は、とりあえず過剰流動性を注入しようとカンフル剤的な発想だ。だが、制御に失敗すれば、再びエネルギー資源や食料の乱高下や、新たな金融商品への投資に向かいかねない。大切なのは、どうやって経済の実体化に結びつけるのか、という構想力だ。次世代のため、地に着いた産業を育成することが必要だ」
・・・・日本が世界で果たすべき役割は。
 「日本は戦後、通商でも外交でも、日米関係という二国間ゲームだけを生きてきた。だが、これからは全員参加型秩序の形成という多国間ゲームでは、だれもが納得できる理念性と、それを支える情報力を持っているかどうかが決定的に重要だ。アジア版IMFを作ってアジア太平洋地域の安定化に役立てるなど、米国を大事にしながらも、世界に向けて発進することが大切になる」
 「日本経済も、グローバル化の中での重心の低い自律経済を志向し、戦略的な基盤を確立することが大切だろう。例えば蓄積した技術を食の分野に投入して自給率を高め、海外からの輸送エネルギーを削減するという案もある。


'08.12.16.日本総合研究所会長・寺島 実郎氏

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