散歩道<.2677>
けいざいノート・米国版「バランスシートの罠」(2) 悪循環を止めるには 債務削減に政策の焦点を (1)〜(3)続く
債務削減に政策の焦点を
しかし、問題は、、住宅価格の下落があと10%程度でおさまるのか、ということだ。日本の不動産価格は、バブル崩壊後,90年代の半ばに,一旦長期トレンドに戻った。しかし、その後、再び長期トレンドを割り込んで、07年まで大幅に下がり続けた。不動産価格の下落が事業会社の債務負担を増やし、疑心暗鬼を蔓延させて過度に取引活動が収縮する「バランスシートの罠」が続いたためだ。
同じ構造が米国経済でも発生しつつある。米国では住宅に続いて商業用不動産の価格も下落し始めている。しかも銀行貸し出しの半分近くは、米国でも不動産担保貸しなのだ。
不動産価格が下がると、実質的に債務超過となる企業が増加し、企業間で「取引相手が倒産するのではないか」という相互不信が増大する。その結果、企業間取引が減少し経済が悪化する。そして経済の悪化がさらなる不動産価格の下落を招く・・・・、という悪循環が続いてしまうのである。これが「バランスシートの罠」のメカニズムだ。
米国で不動産価格が長期トレンドを割り込んで下がり続けると、かっての日本と同じように、不良資産を処理しても、処理しても不良資産が増えていく、という状況が続く可能性がある。金融機関への資本注入も、1回では済まず、何度も繰り返されるだろう。
悪循環を止めるには、金融機関の資本増強とともに、借り手の債務削減を急ぐ必要がある。金融機関による不良債権処理だけでは、借り手は破産などに追い込まれ、実態経済はますます悪化する。政府が財政資金を使って債務者を救済し、市場に広がった相互不信を減らせば、蔓延する疑心暗鬼を緩和して、「バランスシートの罠」の悪循環をとめることができる。