散歩道<.2676>
けいざいノート・米国版「バランスシートの罠」(1) 悪循環を止めるには 債務削減に政策の焦点を (1)〜(3)続く
悪循環を止めるには
G20で先進国と新興国が協調して金融危機に対処することが決ったが、世界の株式市場はじりじりと悪化を続けている。
背景には、米国や欧州で失業増や消費現象など、実態経済の悪化が急速に進んでいることがある。米国の自動車産業は資金繰りに行き詰まり、公然と政府に資金支援を求めるようになった。今週、民主党が自動車産業救済法案を議会に提出し、大論争となっている。これを今回の金融混乱による一時的な現象と見るのは間違いだ。二つの理由から、かなり長期的に米国の実態経済が落ち込む可能性がある。
ひとつは、住宅価格の下落にともなう実体経済の是正であり、もうひとつは1990年代に日本が陥った「バランスシートの罠」に米国も陥りつつあるということである。
米国の住宅価格は、春ごろにいったん下げとまる兆しをみせていたが、直近の8月には再び大きく下落している。住宅価格の長期トレンドに戻るにはあと10%から20%は下がる必要があるといわれている。
これまで米国の消費者は住宅価格が上昇することを前提に,借金を重ねて消費を増やしていた。それが計常収支の赤字(詰まり、米国内の需要が、国内の生産を超過している額)を大幅に増やす原因にもなっていた。これまでの住宅価格の上昇がバブルだった、ということになると、今後は、米国の消費や投資が大きく調整されざるを得ない。
長期的に、米国経済の縮小が起きることになるだろう。ただ、それには為替の調整(ドルの下落)による縮小が含まれるので、現実の経済の落ち込みが大恐慌のときのように激しくなることはないだろう。
'08.11.22.朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏
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