散歩道<2672>
私の視点・ビッグ3危機(1)・新しい移動手段への挑戦を (1)〜(2)続く ・・・・・発想を変える
アメリカの経済成長の象徴だった自動車大手3社「ビッグ3」が経営難に直面している。経営危機で生じる大量の失業者問題をテコに米政府に救済を求め、あるいは合併による生き残りを模索しているが、それらがうまくいったとして、基幹産業として復活するのだだろうか。
実はこの先にもっと大きな問題が待っている。それは、自動車産業の未来そのものが極めて不確実になっているということだ。自動車産業はアメリカをはじめ先進国で永らえることができるのかということである。
クルマが燃料電池で走るようになったとしても、どんなに安全になっても、私たちの社会はこれからも自動車による移動、輸送手段を必要とするだろうか。私たちは将来においても、モビリティー(移動性)の主役を自動車に頼らなくてはならないのだろうかという問題が提示されてきたからだ。 アメリカは19世紀末に「The Nation on Wheels」たることを選択し、20世紀に自動車中心の移動社会を形成することで、自動車産業が国家を背負い、それを基盤にするアメリカ型産業構造を世界中に輸出してきた。クルマが与える移動体験は個人の自由の象徴となり、多くの人にとって夢の対象となった。そして世界中がクルマ中心のモビリティーを疑うことなく受け入れた。
'08.12.2.朝日新聞・ライター、自動車雑誌「NAVI」初代編集長・大川 悠氏