散歩道<2669>

                        社説不況と温暖化・「緑の内需」の出番だ(3)                     (1)〜(3)続く

チェンジの後押しを 

 日本では先月、CO2の国内排出量取引の試行に参加する企業の募集が始まった。CO2を多く出せば損をし、減らせば得をするシステムつくり、低炭素化を促すものだ。
 だが、「企業活動の妨げになる」と反対する産業界に妥協したため強制力に乏しく、実効性に疑問符がつく。不況の荒波が予想される中では勇気がいるが、炭素生産性を競う時代の到来を見越して一歩踏み出そう。
 先進国はどこも経済が成熟し、成長のタネを見つけにくくなった。脱炭素は経済の制約どころか、貴重なビジネスになるだろう。
 日本の環境・エネルギー技術は世界トップレベルだ。「チェンジの」試みも多い。足りないのは、それを促し後押しする仕組みである。
 たとえば、自動車メーカーは、電器自動車や水素を使う燃料電池車を市場に送り出しつつある。ただし、これらは次世代車を普及させるには、充電施設や水素スタンドといった社会的な条件整備が欠かせない。
 地域レベルの挑戦もあう。群馬県吾妻町では8月、東京ガスなどが出資するバイオマス発電所の建設が始まった。木の枝や廃材を砕いたチップを燃やして発電する。石油や石炭を燃やすのとは違い、CO2を新たには排出しないとみなされる。
 出力1万3600`ワットで、2万3千世帯の電力をまかなえる。木くずは群馬県周辺の20社が供給する。規模は小さくても、雇用が生まれる地方経済の活性化に役立つ。こうした事業が各地に育つよう支援したい。
 CO2の排出量を大きく減らしながら、同時に経済成長を続けられる、と国立環境研究所などは分析している。「チェンジ」が早ければ早いほど、少ない投資で大きな効果が期待できる。政府はその先頭に立たねばならない。

'08.11.25.朝日新聞