散歩道<2661>
私の視点・オバマの米国・傲慢さと決別し米国救え(2) (1)〜(2)続く
一方、イラク戦争は泥沼にはまったまま撤退の見込みも見えない。アフガニスタンでの戦闘は激烈になるばかり。10月末には米国がシリアへの越境攻撃に出た。「一国主義」を掲げてイラクへ侵攻した米軍は防衛を理由に戦火を隣国まで拡大させた。国際法も無視するその傲慢さに唖然とするばかりか、激しい怒りを感じる。
ひるがえって現在の金融危機を考えると、金融機関にブッシュ氏の「一国主義」に通じる傲慢さが顕著だったのではないか。信用度の低い個人に貸し付ける銀行ローンを商品化してウオール街の大銀行に売りつける。証券化されたローンは、初めてのマイホームを手に入れた市民がどれほどの愛着を抱きローン返済のためにどれほど懸命に働いたかを語らない。住宅バブルがはじけ、不良債権が続出しても、金融機関の関係者は市民の生活や苦悩など興味もない。いちばんの関心は年末のボーナス。中には数億jも手にする者が珍しくなかった。
新大統領に与えられた課題はあまりにも多く、あまりにも大きい。銀行と金融システムがこのまま崩壊していくなら、大統領はそれを阻止して新システムを開発する必要がある。解雇された市民に新しい雇用を創出し、中低所得者に減税を行う。誰もが使える医療保険制度を確立し、エネルギー開発や教育問題にも力を入れる。イラクからの撤退を勧め、移民問題にも乗りださねばならない。
しかし、一番大切なことは8年間の傲慢さと決別し、相手をおもんばかる精神を取りもどす事ではないか。世界の信用をとりもどし、新しい金融システムをつくるため米国に残された道はそれしかない。この窮状から米国を救うため、オバマ氏が現れたと私には思えるのである。
'08.11.6.朝日新聞・ジャーナリスト青木 富貴子さん