散歩道<2658>
私の視点・オバマの米国・政権と議会の関係も変化(1) (1)〜(2)続く
オバマ候補の当選は、彼の若さ「変化」というキャッチフレーズ、そして初のアフリカ系大統領であることなど、新しさにみちている。8年ぶりの民主党政権ということもあり、ブッシュ政権からの政策転換が広く期待されていると思われる。大勝を受けて、オバマ新大統領も積極的な政策を打ち出していくことになるだろう。
しかし、議院内閣制の日本とは異なり、大統領当選によって定まるのはアメリカ政治の半面に過ぎない。これからのアメリカ政治の行方を考える際に、今なお重要な要素としては忘れてはならないのは、大統領・議会・裁判所の間に存在する、厳格な権力分立の構造である。とりわけ大統領と議会の関係が与える影響は大きい。オバマ新大統領と、民主党多数が維持されることに議会の関係が、対立と協調のいずれに向かうのかにも注目すべきである。
権力分立は、大統領と議会の一方だけでは政策決定ができないようにして、政治の拙速を抑止する仕組みである。しかし、強力なリーダーシップや迅速な政策決定が求められるときには、権力分立が障害になる場合もある。アメリカは建国以来しばしば、戦時や経済危機に際しては、議会が協力しながら大統領への一時的な権力集中を図ることによって対応してきた。
今日アメリカが直面している最大の課題が、金融危機などの経済問題と、イラク・アフガニスタンでの軍事的関与の問題であることは明らかである。これらはいずれも、従来であれば大統領への権力集中によって対処すべきものだが、オバマ政権と議会は、より対等で緩やかな協調関係に落ち着くだろう。
'08.11.6.朝日新聞・京都大教授・待鳥 聡史氏
関連記事:散歩道<検>政治、
![]()