散歩道<2654>
社説・米国刷新への熱い期待・オバマ氏当選(2) (1)〜(3)続く
ブッシュ時代へ「NO」
今の米国社会には沈黙した空気が漂っている。約8割の米国民が「米国は悪い方向に向かっている」と感じているという。軍事力と経済力で他国を圧倒してきた超大国が、自信を喪失している。
この閉塞(へいそく)感を打破して、新しくやり直したい。そんなリセット願望が若い世代を中心に共鳴し合い、雪だるま式に「オバマ現象」を膨らませていったのだろう。
「イエス、ウイー・キャン(我々はきっとできる)というオバマ氏のメッセージは米国民を鼓舞し、前向きな挑戦への意欲を取り戻させた。
オバマ氏を押し上げたもうひとつの原動力は、8年間のブッシュ政権に対する有権者の「ノー」だった。
9・11同時テロという衝撃が米国を襲ったあと、ブッシュ政権は圧倒的な軍事力を前面に立てて単独行動に走った。大義なきイラク戦争は、4千人以上の米兵と多くのイラク国民を犠牲にしただけでなく、中東を混乱させ、米国の国際的な信用を失墜させた。
そして、大恐慌以来といわれる金融危機、ウオール街の投資銀行が消え、かって米国の繁栄の象徴だった自動車産業ではリストラの嵐が吹き荒れている。市場崇拝と規制緩和が生み出したバブル経済のつけが回ってきた。
「強い米国」を掲げて軍事力を強化し、「小さな政府」路線を進めたレーガン政権以来、30年近くにおよぶ新自由主義の挫折といっていいだろう。ブッシュ時代に露呈したその失敗は、共和党支持者をも失望させ、マケイン候補の大敗につながった。
「政府には果たすべき役割がある」と強調し、イラク戦争を批判したオバマ氏は、米国民の異議申し立てを鮮やかに代弁してみせた。
上下院の議会選挙でも、民主党が圧勝した。ホワイトハウスと上下院の多数を民主党が制するのは、92年にクリントン氏が初当選した選挙以来だ。
'08.11.6.朝日新聞、