散歩道<2646>

                          経済気象台(400)・追加経済対策の欠陥

「仕組み」の経済学ー22
 ままるでバーゲンセールを行うスーパーの社長のような口調で麻生首相が打ち出した追加経済対策だが、その後商品設計の欠陥、誇大宣伝、果ては消費者軽視の利権誘導などが見えてきた。経済危機対策が緊急に必要にもかかわらず、迷走しだした。
 「定額給付金」がGDP拡大につながる可能性は、90年の地域振興券よりも低いと見られている。「住宅ローン減税」は主に高額所得者優遇による住宅産業への支援策である。
 「中小企業資金繰り支援策は多くが苦境に陥った地銀の不良債権を国に振り替えることになる。
 「高速料金の大幅引き下げ」には、ETC利権の拡大を図りたい官僚の意図が透けて見える。3年後の消費税引き上げへの言及の背後には、財務省の意図がうかがえる。
 不況対策としての財政出動は、変動相場制の下では効果がないというマンデル・フレミング理論を待つまでもなく、この国の経済回復への貢献は少ない。その結果、世界に冠たる借金国家がある。非効率な業界を支援することでは、内需産業はますます競争力を喪失し、イノベーションも誘発しない。
 年金、医療、食の安全、少子高齢化、格差社会、財政危機といったわが国の深刻な社会問題は、政府の制度設計の失敗によるが、そこにも全く踏み込んでいない。短期的な効果も期待できず、長期的にも逆効果である。
 「官僚を使いこなす」と豪語した麻生首相は、結局「官僚に使いこなされて」しまっている。海の向こうの同盟国は、チャレンジをうたうオバマ氏が大統領になる。官僚内閣制によって劣化したこの国の仕組みも、今やチェンジが必要だろう。


'08.11.15.朝日新聞、

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