散歩道<2635>

                   経済危機の行方・モラルなき拝金主義 背景に(3)                (1)〜(3)続く

日本主導でアジアの声上げよ 

 麻生政権は衆議院解散・総選挙の時期や国会対策などをめぐって忙殺され、いま起きている問題の歴史的意味や、今後日本が世界に示すべき政策にまで思いが至っていない。
 本来なら今回の事態は、日本が主導して世界に新たな態勢づくりを訴えるチャンスでもあると思う。アジアの総意、いわばアジアの「連合意思」といったものを形成し、欧米に説いていくということがあってよい。
 アジア人が立脚している基本思想、基本哲学は欧米的なものとは違う。アジアでは自然主義的な観点から出発する思想が普遍的だ。米国発の病に苦しむ世界でアジアが声を上げることは、歴史的な意義を持つ。おそらく中国や韓国、そして他のアジア人としての自覚をもとに、今回のような地球的、人類的課題について議論を提供することに賛同する人は多いだろう。
 日本が、たとえば2020年を目標とする10年計画で、アジア的発想を世界に生かすための方策を、各国の協議を経てアジアの総意として具体化していけば、大きな意味がある。もちろん、そこにはモラルが一貫して付随していることが基本だ。モラルということから物事を考えれば、偏狭なナショナリズムは排除される。世界的な基準、普遍性、人類的運命を考えて進むべきであり、進むしかない。

'08,11.8.朝日新聞・元首相・中曽根 康弘氏

関連記事:散歩道<381>中曽根康弘様の講演会・文化と政治 、<942>対談・武士道・教育・道徳・修身・中曽根康弘氏、藤原正彦氏、竹村健一氏、<2138>対談・「大人の見識」曽根康弘さん・阿川弘之さん・竹村健一さん