散歩道<2631>
経済危機の行方・繁栄続き、楽観しすぎた米国(2) (1)〜(3)続く
世界金融の枠組み、再構築必要
バブルの最中にそれがバブルだと認識するのは、ものすごく難しい。投機の対象がチュウリップの球根の時もあれば、土地の時もある。バブルは常に個性的なだけに、見極めにくい。
今回のバブルの大きな特徴は、金融の技術革新に加え、金融市場のグローバル化にある。新興国が高成長を実現し、所得と貯蓄が急増したが、国内で投資対象が不足し、「世界的な貯蓄余剰」が生まれた。それが低金利を招き、米国の投資過剰とバブルの発生に結びついた。
日本の資金が海外に流れて、不動産バブルを生んだ面も否定できない。低利で借りた円を外貨に換えて運用する「円キャリー取引」もその一環だった。
グローバル化が各国の金融政策のかじ取りを難しくしている。日本が低金利を続けたのは、デフレからの脱却が必要だったからだ。量的緩和を懸命にやっていたときに、金利を上げるのは無理な話。円キャリー取引が拡大していたことは認識していたが、やむをえない「副作用」と考えるしかなかった。
今回の危機は、従来の規制や監督の枠組の外で起きた。証券化商品や、それを世界中に売りまくった投資銀行は、FRBの監視を受けていなかった。
例えばメキシコは米シティバンクに金融を全面的に依存しているが、自国の銀行ではない。一方、米国当局もシティの海外活動は見えない。結局、どこもコントロールできていない。
こうした例を見ても、グローバル化で新しい枠組みが必要なことは明らかだ。大恐慌後に銀行と証券の分離や預金保険の制度が実現したように、世界の金融の新たな公共インフラを、数年がかりでどう作り直すのかが課題になる。
'08.11.7.朝日新聞、大和総研理事長・前日本銀行副総裁・武藤 敏郎氏