散歩道<2614>
経済危機の行方・今や米国は問題をもたらす存在(3) (1)〜(3)続く
欧米・北米・極東に保護主義圏を
欧州、日本、ロシアが危機から受ける被害は、それほど大きくないだろう。これらの国では金融経済とのギャップが小さい。
欧州の対応策はある。保護主義的な障壁を確立し、域内貿易を優先することだ。最近まで、保護主義を唱えるのはセクハラまがいの冗談よりもいけないことのように言われてきた。しかし、それが生活を改善し消費を刺激すれば輸入を促進することにもなる。原料供給でロシアと提携すれば、非常に安定した経済の極になる。そうなれば、米国を助けるマーシアル・プランを欧州が用意することになるかもしれない。
結局のところ、三つの保護主義圏、つまり欧州圏、北米圏、極東圏によって再編された経済こそが、世界にとって有益なのだ。これまで保護主義は国単位の発想だった。そうではなくて、欧州各国が一緒になって保護主義圏をつくり、それができれば、今度はほかの経済圏との協力に移行していく。
現在の貿易を概観すると、確かにグローバル化*2によって世界的に流通するものもあるが、大部分は欧州内、北米内といった地域単位、大陸単位で行われている。これに基づいて、世界を欧州、北米、極東に分けるべきだ。それぞれで内需を拡大し、地域経済を立て直し、各極を基礎に置いたグローバル化を構築すべきだ。日本、中国、韓国は共通経済の可能性を探る機関を設立した方がいい。
危機に対して各国政府が無力だったのは、ウルトラリベラリズムの発想しかなく政治が経済に対して受身だったからだ。事態を予言する経済学者もいたが無視された。解決策は複雑ではない。だが、ほかのプロのエコノミストたちがそれを考えようとしなかったのは、考えないことで給料をもらっていたからだ。今回の危機で、そんな連中の高慢さも最初に破壊された。
'08.10.30.朝日新聞・人口統計学・歴史学者・エマニュエル・トッドさん
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