散歩道<2613>
経済危機の行方・今や米国は問題をもたらす存在(2) (1)〜(3)続く
中国、輸出頼み続ければ崩壊する
1929年の大恐慌は、英国による世界経済の支配が崩れたことが原因の一つだった。その後にやってた米国支配は長く続いた。米国に対して、みんな「ダイナミックで、何の問題もない」と信じていた。人々がそういう幻想を抱いている限り、経済システムも機能する。米国は神のような存在だった。
その神話が崩れつつある。米国への疑念は、3年前にハリケーン「カトリーナ」から一つの街さえ守れなかったことで浮かびあがった。グルジア問題で何も出来なかったことが拍車をかけた。米国は次第に力を失っている。世界は一極でも多極でもなく、実際は無極になりつつある。人々はいつか「神は存在しない」と気づく。
中国や日本が輸出国としてやってこられたのは、ある意味で米国の過剰消費のおかげだ。米国は約8千億jもの貿易赤字を抱えている。米国が生産しているものといえばカネであり、腐った証券だ。にもかかわらず消費を続けるのは反道徳的だ。しかし、3億人の消費者としての米国という事実があった。そのシステムが行き詰まり、サブプライムローン*1という仕掛けが崩れ、米国がもはや消費を続けられなくなった時、地球全体が構造的な需要不足に陥る。
その結果、米国とともに危機の影響を最も受けるのは中国だろう。中国の経済システムは非常に脆弱(ぜいじゃく)な部分を抱えていう。
中国の輸出総額は国内総生産(GDP)の40%に相当する規模だ。これは日本や韓国をまねた結果で、明らかに不自然だ。輸出によって13億人を養おうとしても、国際市場が回転しなくなったらどうするのか。このままでは中国は崩壊しかねない。ただ、中国にはもっと違った道がある。経済の構造を10年から15年かけて内需志向に転換すれば、大きな改善が見込まれる。本来、平等志向の強い中国社会には、その方があっている。中国は自分の畑をまず耕すべきだろう。
米国の将来について、私は悲観的だ。米経済の土台は非常に脆い。それは単に貿易収支の問題を超えている。たとえば技術者や科学者の育成で、米国は欧州やアジアの各国にははるかに後れを取っている。経済を引っ張るのは弁護士でなく技術者でなく技術者だ。
'08.10.30.朝日新聞・人口統計学・歴史学者・エマニュエル・トッドさん
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