散歩道<2591>
けいざい・ノート・金融恐慌はとめられるか(3) (1)〜(3)続く
市場の疑心暗鬼取り除け・新興・産油国と新基金を
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第三は、グローバルな枠組みの必要性だ。金融危機の処理コストは、グローバルな金融市場が相手の場合、一国では一時的に負担しきれない場合がある。
金融危機対策の財政コストが米国では200兆円を超えるのではないかという報道もなされているが、巨額の金融危機対策費の出費が続けば、米財政への信頼が失われるかもしれない。米国の財政悪化は、国債価格の下落(長期金利の上昇)を招く。住宅ローンや中小企業の借入金利が連動して上昇する。結果、公的資金で金融機関を救済しても、米国が深刻な不況になって金融危機が再発する負のスパイラルになりかねない。そうなれば損失は米国にとどまらず、日本を含め世界中の国々が甚大な経済的被害を受けることになるだろう。これを止めるには、豊富な外貨を持つ中国などの新興国や中東産油国などの資金を集めて、金融危機の処理に苦しむ国に、一時的に危機対策の費用を融資することが有効だ。しかし、国対国で直接に融資するのは無理がある。グローバルな政策協調の枠組みとして、国際基金を創設し、これを経由して融資すことを検討すべきだ。日本がG7で提案した国際通貨基金(IMF)の新型融資と共通する発想だが、融資対象は、むしろ米国など主要国も含めて考える必要がある。
金利の低い国が国債を発行して資金を得て、それを基金経由で米国に貸し付ける。そうすれば全世界的なコストを劇的に軽減できるはずだ。例えば日本も、国内で財政出動できるのなら、その資金を米国の金融対策費に貸し付ける方が、世界と日本経済の安定に役立つではないだろうか。
'08.10.18.朝日新聞、経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏
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