散歩道<2590>
けいざい・ノート・金融恐慌はとめられるか(2) (1)〜(3)続く
市場の疑心暗鬼取り除け・新興・産油国と新基金を
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ただし、かっての日本では、厳格査定といっても担保不動産の価値を査定すればよかった。だが今回の金融危機で問題になっているのは、複雑な金融工学を駆使した証券化商品である。その価値を素人は査定できない。破綻(はたん)したリーマン・ブラザーズなどの金融工学技術者を検査当局が大量に雇用し、証券化商品の解析を行う検査体制を作るべきだろう。いわば、金融工学版のバース・エンジニアリング(他社の製品を分解してその設計を分析する手法)で査定するのである。
欧米では、「時価会計を一時停止して、資産査定を甘くしよう」という議論が出て、日本にも追随の動きがある。だが日本の経験からは、資産査定を甘くして損失処理を遅らせても、市場のパニックを 一時的に沈静化することは出来るかもしれないが、根本的解決を遅らせるだけである。
第二は、特別な不良債権買い取り会社を創設し、厳格査定をさせた民間金融機関の不良債権を買い取ることである。その資産価値が安定したときを見計らって、ゆっくりと資産を売却し、処理するのである。日本の整理回収機構や産業再生機構のような機関だ。
不良債権を厳格査定して、そのまま市場に放出させると、資産価格の暴落は一層激しくなってしまう。資産価格が下がれば、ますます金融機関の持つ資産の価値が下がり、含み損が膨らむ。この悪循環を止めるために、過去の各国の金融危機では、不良資産買い取り会社が設立され、金融機関による不良債権の投売りを防止したのである。今回も、欧米諸国は、早急に資産投売りのクッションとなる不良資産買い取り会社を設立すべきだろう。