散歩道<2585>

                      世界金融危機の直面して・根源に「不確実性」(3)          (1)〜(3)続く
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 もし資本主義の歴史がバブルの隆盛と崩壊と切り離せないのなら、それが崩壊した時には、できるだけ迅速に対策を講じなければならない。アメリカが金融安定化法の制定に動き出した時は、誰もが期待感を抱いたが。一時下院で否決された後、修正の末にやっと成立したとなれば、効果は半減するだろう。不良債権の買取価格がどうなるかなど不透明な部分があるなどの問題は、この場合、二次的なものに過ぎない。その後の対応も、共通通貨ユーロをもつヨーロッパ諸国と比べると、後手に回っているいるようにみえる。
 金融危機の根源には、ケインズの言葉を使えば、先が全く読めない「不確実性」がある。金融危機の際の流動性への逃避とは、つまるところ、将来に対する不安を測るバロメーターなのであり、この不安を鎮めなければ、悲観が悲観を呼ぶという悪循環に陥り、本当に深刻な世界同時不況が生じるかもしれない。
 一説には、30年代の世界不況を上回るほどの苦境に陥っているともいうが、今では迅速な対応や国際協調の必要性など世界は多くを学んでいるはずであり、そのような悪夢は再現しないと信じたい。むしろ必要以上に悲観することは、あまりにも楽観的になるのと同じように、問題をこじらせるだけだということを認識すべきではないだろうか。

'08.10.16.朝日新聞、京大教授・根井 雅弘氏