散歩道<2583>
世界金融危機の直面して・根源に「不確実性」(1) (1)〜(3)続く
20世紀の経済学の巨人シュンペーターは、晩年の著作『資本主義・社会主義・民主主義』(1942年)のある章の冒頭に、「世界はなんとわずかの英知によって支配されていることか!」という文章を掲げたことがある。社会科学ばかりでなく、あらゆる学問分野に精通していた彼は、決して世界の英知が足りないと思っていたわけではなかっただろうが、第1次世界大戦後のオーストリアで短期間大蔵大臣をつとめた経験から、英知というよりは政治的決断力の欠如から問題が放置される危険性を身をもって味わったことだけは確かである。
現在、世界はアメリカのサブプライムローン*1問題に端を発した世界同時不況の可能性に直面しており、毎朝新聞を広げるたびにその関連の記事がたくさん載っているのを発見する。私は現代経済思想史が専門なので、時事問題を論じる経済学者やエコノミストの仲間入りをするつもりは全くないのだが、世界同時株安や世界同時不況の可能性など、毎日同じ問題が繰り返し報道されてるのに接すると、ほんのすこしだけ注意を喚起したいことがある。金融危機に陥った場合に講ずるべき対策は(例えば、国債協調による利下げや、金融危機の回避のための公的資金の投入など)は、ほとんど決っているのに、それが遅れたり実行できなかったりすることである。こちらのほうがもっと問題ではなかろうか。