散歩道<2562>
私の視点・小泉氏引退「劇場政治」の呪縛解けるか(1) (1)〜(3)続く
5年5ヶ月に亘って政権を担った小泉元首相が衆議院議員の引退を表明した。次の総選挙でも議論されるであろう小泉政治の「功」と「罪」を見つめると、その表裏一体ぶりが浮かんでくる。
「功」の一つは、日本政治にも強いリーダーシップがありうることを示したことだ。それまでの首相は、弱い指導者、受動的なトップという評価が一般的だった。だが、彼はそれを覆してしまう。日本政治の可能性を広げたという評価が出来るだろう。
その強さを生んだのが、メディアを利用し、国民の情念に直接訴えかけるポピュラリズムの手法だ。ポピュラリズムは「大衆迎合」などと理解されるが、大嶽秀夫・同志社女子大教授によれば、悪と善、敵と味方を二分し、自分は人々の味方として敵と戦うのだと訴える政治スタイルをさす。
特徴的なのは、他党との間ではなく、身内に境界を持ち込んだことだ。05年9月の郵政選挙がその典型だ。争点を郵政民営化の是非の一本に絞り、自民党内を敵か味方か、抵抗勢力かそうでないかで区分してしまった。このような自民党総裁は存在しなかったが、直接国民に訴えることで力を得、強力なリーダーシップを手にしたのである。
'08.10.4.朝日新聞・東京大准教授・内山 融氏
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