散歩道<2549>

                       社説・9.11テロから7年・新しい連帯を作り出そう(2)             (1)〜(3)続く

テロに勝つ方程式を 

 かって「私たちは米国民とともにある」と当時のプーチン大統領が語ったロシアは、オイルマネーで盛り返した経済力を背景に、米国に挑戦する姿勢をあらわにしている。いったい、あの連帯感はどこに行ってしまったのか。

 「米国の敵か、見方か」。ブッシュ政権が振りかざした単純な正邪二言論の罪は重い。テロの背景には歴史や民族など複雑な要因も絡む。同盟国にもそれぞれの事情があるし、イスラエルを支援する米国にイスラム諸国はもともと不信を抱いている。
 ブッシュ政権は、いわば「アメリカ・グラウンド」
(米国の土俵)での戦いに偏りすぎたために、世界の信頼と影響力を弱めることになった。その結果として、連帯の土俵は侵食されていったのではなかったか。
 米大統領選挙を争うオバマ、マケイン両候補は、テロとの戦いをどう立て直すか、それぞれの戦略を訴えている。イラクからの撤退であり、あるいは従来の軍事作戦の継続だ。だが、根本的なところで求められているのは、「コモングラウウンド」をいかに再構築するかという問題なのだ。
 日本や欧州の国々は勿論、イスラム諸国の多くが参画でき、ロシアや中国も受け入れられる土俵をいかにつくり出すか。
 軍事力は必要だが、軍事の使い方は洗い直す必要がある。テロの温床を断つために、その国自らの「内発力」を発揮できる支援を強めなければならない。
 ライス氏は「われわれの勝利の方程式」をこう説明した。イスラム世界の人々が自ら利益を平和的に追求し、自由な環境の中で尊厳をもって生活できる。そんな民主的な道筋があると示すこと。
 異論はない。世界がこの方程式のために結集できる土俵をつKり直さねばならない。

 

'08.9.10.朝日新聞

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