散歩道<2539>

                       経済気象台(378)・二重構造

仕組みの経済学ー19
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 物々交換の社会でも経済は基本的に二重構造になっている。一つは市場経済であり、もう一つはその上に載る寄生経済である。社会の進歩につれ、市場経済は加速度的に発展する。これに伴い、寄生経済の担い手である支配権力も強圧的な搾取経済から進化し、民主化を装う。
 中国は共産主義革命で市場経済を否定したために、貧窮の共和国であった。だが、90年代以降は市場経済が爆発的に発展し、それに連れ寄生経済も汚職型・利権型それぞれが飛躍的に規模を拡大しているようだ。
 一方、北朝鮮やミヤンマー(ビルマ)、アフリカ南部の国々のように資源大国になる潜在能力を持ちながら、苛斂誅求型
(かれんちゅうきゅう)の独裁政権が市場経済を圧殺しているため、窮乏にあえぐ国家も多い。我が国は民主国家なので、あからさまな収奪はできず、搾取も理論武装を伴った技巧的ものとなっている。
 例えば、自由経済では時折「市場の失敗」が起こるので、政府の介在が必要とされ、「大きな政府」が是認されるようになった。また、公共財は市場経済に任せず、政府が提供すべきだという議論も盛んになり、道路やダムといった「ホコモノ行政」が蔓延
(まんえん)した。これに乗じて、政治家が利権を拡大し、官僚の天下りも拡大した。
 寄生経済によって今では国・地方の借金が800兆円を超えた。政府は増税という形の収奪で借金の帳消しをねらっている。
 二重構造がこれまで共存できたのは経済が成長してきたからである。だが、相次ぐ失政で市場経済が萎縮してきている。寄生経済の膨張をこれ以上放置すれば、この国の衰亡もきわまるだろう。

'08.8.29.朝日新聞

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