散歩道<2488>
夏に語る・人は違っているから分かり合える(1) (1)〜(3)続く
転換点は、あるのではなくて、自分でつくるのよ。それは12月8日。始まった日があるから原爆があって終わった日、8月15日がある。原因をつぶさなければ同じことが起きる。なぜあの日があったのか。その日の様子はどうだったのか。誰が仕組んだのか。国民の誰一人として相談受けなかったでしょ。
朝日新聞も、真珠湾奇襲の大軍事行動を知らなかった。私は東京社会部で浦和(現さいたま市)に住んでいて、朝6時か7時か本社から電報が来たの。全社員に同じ文章。「直ちに出社せよ」だ。うんと寒かったな。
行ってみたら戦いが始まったって。編集局みんなショックをうけちゃって、だれも物言えなかった。異様な沈黙でしたよ。最初は「戦争状態に入った」。しばらくして「真珠湾で軍艦やっつけた」。そういう発表があったけど、万歳なんて喜ぶバカはいなかったな。通夜みたいな感じでした。何も知らないうちに始まったショックと、これからどうなるかという不安ですよ。
そしてずるずると300万人の同胞を死なせ、2千万人の中国人を殺した。こんなことがあっていいのかと考えなきゃいかんでしょ。考えたらそうならないための365日の生活の中での戦いが必要だということになるんじゃないですか。
戦争というのは、殺すか殺されるか。でもそれだけじゃない。夫の戦死を知らされた奥さんが泣いたら「非国民」。だから「お国のために命をささげた立派な夫でした」とけなげな妻を演じる。全部うそっぱち。
新聞社でも3人おれば口つぐむ。憲兵隊や特高に知れるのを身構えるわけよ。刑務所、拷問と直結だもの。2人だと誰がばらしたかわかるけど、それ以上だと分らないから。みんな不信感だらけ。本当の友人というのは、中々できなかったな。自分がいつ非国民と言われるのかの恐怖心で*1隣近所がお互いをしばりあう。戦争やると人間が人間でなくなるの。
'08.8.22.ジャーナリストむの たけじさん
'16.8.22.むのたけじさんが逝去された、ご冥福を祈ります。
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