散歩道<2440>

                               私の視点・宗教者の役割(1)              (1)〜(2)続く
                                    
違いを保ち、責任を共有

 北海道洞爺湖サミットを前に、私達世界各地の宗教者は札幌に集い、世界の平和と地球的課題の克服への願いを話し合う会議を開きました。
 宗教の役割は経済や軍事に比べて明瞭ではありませんが、人間の命の根本を支えるもので、社会に大きな影響を与えてます。宗教への対処を誤れば争いの火に油を注ぐことになります。宗教者の過去の過ちを謙虚に認め、自らの宗教伝統にのっとり、争いを防ぐよう勤め、宗教が政治に悪用されないよう気をつけなければなりません。紛争に際して宗教間の対立が注目されますが、この世を生きる上での倫理にはかなり共通するものがあります。私たちは宗教の違いを保ちつつ、共通性を探し出し協力すべきです。
 現実には、諸宗教を統一したり、調和を図ったりすることは易しくありません。しかし、社会の現実を前にした時、宗教違いを超え、協力する道が開かれると確信します。一例を挙げれば、中国四川省の大地震では国家や宗教の違いを超え、助けたいという思いを多くの人に抱かせました。ところがイラク戦争においては、味方の犠牲に心を痛める人々が、敵側の犠牲には痛みを感ぜず、拍手する人まであります。

 犠牲者の多くは罪のない庶民や弱いものです。敵味方というとらわれを離れ、悲惨な現実を目の辺りにした時、心の痛みを感じないはずはありません。事件にゃ紛争、飢饉や飢餓という現実を偏見少なく見つめるところから出発したいと思います。
 

'08.7.22.朝日新聞・浄土真宗本願寺派門主・大谷光真氏

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