散歩道<2431>
経済気象台(346)・競争力強化の苦しみ
企業のグーバル化、国際競争力の激化、中国、インド、ロシアなどの新興国、資源国の比重の増大で、我が国製造業はその姿を変えようとしている。 今や我が国製造業の海外生産比率は30%を超え、国内生産に占める輸出比率では自動車、建設機械、工作機械、電子機器とも50%を超えている。実に内外販売額の約60%が海外売上げである。今後も我が国市場は少子高齢化で拡大は見込めず、製造業の成長の源泉は海外市場にある。
海外比重高まりの中で、我が国企業は今、構造再編に取り組んでいる。その一つが選択と集中である。部品・材料を組み合わせれば大量生産可能なパソコン、携帯電話、DRAMなどの組み合わせ型製品生産からの撤退が相次ぐぎ、同時に薄型TVパネル、次世代半導体などでは内外企業との統合・連携で競争力強化を図っている。一方では、すべての技術・ノウハウが統合されて強さを発揮する自動車、工作機械、事務機、建設機械などの統合型製品で、世界的な生産・販売網を一層強化している。
これらの動きは、わが国企業の国際競争力の強化と海外市場の拡大を目的としたものであるが、国民生活にもその影響が出ている。それはなかなか上らない賃金である。企業は国際競争力を強化するために、利益は内外での研究開発と設備投資に投入せざるを得ないのである。一方、企業は国際競争力強化に限界も見え始めている。それは世界市場を見据えた戦略や世界の人材、資本を活用したグローバル戦略を展開できる人材の不足である。今後は海外の人材をいかに活用するか、また、国際的に活躍できる自立的かつ創造的な人材をいかに育成するかが鍵となる。
'08.5.29.朝日新聞