散歩道<2420>
                        opinion・食糧危機(3)・値上がりは今後も続く               (1)〜(3)続く

 これまで食料は、太陽と光りと水、土地があれば再生可能な無限の資源とされてきたが、水や土地はもはや無限ではなく、食料は有限資源の性格を強めている。世界の穀物の生産面積は80年代初めより1割弱も減っている。価格が高騰しても、増産の余地は限られている。
 食料価格の歴史的な推移を工業製品と比べると、現在の水準は決して高いとはいえないという見方もある。80年時点の価格を1とすると、工業製品は徐々に上がって、05年には2.5程度に達した。一方、農産物を含む一次産品は99年まで1前後で低迷した後、00年以降に急騰して05年に2.5を突破した。長らく低迷していた食料価格が、ようやく工業製品に追いついたに過ぎないとすると、今後も高騰が続く可能性がある。
 日本国内でも、すでに一部の食品が値上がりしているが、今後、コメや野菜・果物、卵、畜産品が一斉に上昇する可能性が高い。耕作放棄やコメの生産調整を行っている場合ではない。飼料用米の生産をはじめ、農業技術や人材などあらゆる資源を動員して、食料自給率を上げるべきだ。食料危機は国内農業だけでは対応できず、多国間協議や自由貿易協定を通じた海外からの安定調達も急務だ。

08.7.3.朝日新聞、丸紅経済研究所所長・柴田 明夫氏

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