散歩道<2388>
グローバリズムの正体(2)・@国民国家・国・地域の独自性解き放つ (1)〜(3)続く
・・・・・世界システムにおける国民国家の役割りや機能をどう考えますか。地球規模の問題が増え、国民国家や政府の役割りは小さくなっていくのでしょうか。
「国家はたとえライバル同士であっても他国と協力しなければ安全や経済成長を維持できなくなった。『我が国の安全保障は貴国の安全保障次第である』というわけだ。テロリスト集団が大量破壊兵器を手に入れ、我々の社会を破壊しようとしているかもしれない。これはグローバル化によるものだが、19世紀のように壁を自国社会を守ることは出来ない。旧ソ蓮時代の核兵器がテロリストの手に渡らないようにするにはどうするか。ロシアにはアメリカの協力が必要だし、アメリカにはロシアの協力が必要だ」
・・・・・グローバル化する世界において、国民国家は『解決すべき問題』ですか。それとも「問題の解決手段ですか」
「両方だ。国民国家はナショナリズムや偏狭な見方によって左右され、政府は国際的に関与しにくくなることがしばしば起きる。アメリカがその例だ。軍縮条約を批准しなかったり、国際刑事裁判所に加わらなかったりすることを見れば分るだろう」
「一方、南米アマゾンの熱帯雨林の破壊問題を考えてほしい。世界全体にとっての問題だが、ブラジル政府が乗り出し、伐採を規制しなければ解決しない。中国の大気汚染も同様だ。国民国家は世界規模の課題に対して、問題であると同時に解決手段でもある」
○ ○変わる日本人
・・・・・・世界が一体化していくと、国家としての一体感や結びつきが弱まっていくのでしょうか。
「そうは思わない。ただ、ナショナリズムの性格や国民としての自己認識は変って行くだろう。日本について考えてみよう。文学、音楽、スポーツに現れているように、外から様々なものを吸収する、事によって、旧い伝統が新しい非日本的なものにとって変わられた。さらに社会に変化が起きるだろう。日本は出世率が下がり人口が減少しているが、今後も経済成長を維持しようというのなら、社会を開いてアジアをはじめ世界から多くの移住者を受け入れる選択を迫られる。受け入れれば日本社会は変化していくし、『日本人であること』の意味も変わっていくだろう」
'08.6.16.朝日新聞・米プリンストン大学教授・G・ジョン・アイケンベリーさん
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