散歩道<2373>
シャネルと源氏物語(1)・「オーラ」の香り 大衆に (1)〜(2)続く
ここには、大変分りやすい解説がなされている。
源氏物語「梅枝」の巻で、入内を控えた光源氏の娘に朝顔*2の君からガラスに入った薫物(たきもの)が届く、光源氏は薫物比べを楽しむ。光源氏、朝顔*2、紫の上*2、明石の君、花散里が調合した薫物を源氏の弟、蛍宮が判定した。
「薫物*1は平安時代に発達した練り香のこと、沈香、丁子、薫陸(くんろく)、白檀(びゃくだん)、麝香(じゃこう)などの香料を砕いてまぜ、蜜で固めたもの。そのレシピは、83もの成分を配分したシャネルの5番の複雑さに通じる」というのは『光源氏が愛した王朝ブランド品』の著者、東京学芸大河添房江教授。
平安時代の舶来ブランド*3品は香料の他、瑠璃壷(るりつぼ)、秘色(ひしょく)青磁、唐綾(からあや)の唐物だった。唐物とは、つまり当時の最先端、中国などからの輸入品。その唐物を、光源氏は使ったり、送ったりして権力を保った。
登場する女性の性格や考え方も、愛用しているブランド品で描き分けられている。例えば、明石の君は六条院の部屋を唐風のインテリアで飾り、光源氏を魅了する知恵を持っていた。朱雀院に大切に育てられた女三宮は、中国の皇后を思わせる最高級の唐風の調度に囲まれていた。頑固な末摘花は、流行遅れの毛皮を大切に着ていた。この3人に比べて、紫の上は国産のブランド品が似合う女性として描かれていた。これらの「唐物」は新羅(朝鮮半島)の北にある渤海国から日本海を経由して平安京に届いたり、大宰府に近い博多に入港する唐船からもたらされたりしたようだ。
'08.6.7.朝日新聞
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