散歩道<2338>

                 グローバル化の正体(2)@近代化教育レベルの一致で達成               (1)〜(3)続く                      

○○識字化こそカギ
・・・・イスラム世界も同様な道をたどっていると?
 「そうだ。たとえばイラン。ホメイニ革命は好むとこのまざるとにかかわらず、イランにとって近代化への道だった。確かにまだ選挙は完全に自由ではない。しかし、国民にはつねに投票する機会がある。人々が異なった意見を持てる社会でもある。民主主義登場の兆候がそこにある」
 「だいたいイランで今起きているのは宗教保守派と非宗教派の対立だ。表面では神をうんぬんしていても水面下で起きているのは政教分離の動きだ」
 「女性の識字率が高まり出生率が2程度まで落ちれば必ず信仰は揺さぶられる。イランに原理主義的な現象があっても宗教への懐疑が出ていることは認めなければならない」
「米国はイランを脅かすが、それはかえって保守派を勢いづかせる。米国が圧力をかけなければ、イランの政治制度はもっと早く自由化されるだろう」「イスラム世界だけではない。中国の経済成長の加速は共産主義を清算したからではない。共産主義的経済構造が発展を阻害していたとは思うが、中国が十分な識字率まで到達したことの方が重要だ。インドの成長も加速したのは経済改革の前からだ。むしろ識字率の上昇と一致する」
・・・・各文明の隔たりは大きく見えても固定化して考えるべきではないということですか。
 「テロやイラク戦争などで世界はイスラムをスケープゴートにしてきた。かってソビエト的人間という概念があった。共産主義の産物でふつうには戻れなくなった人間という意味だったが、いまはイスラム的人間というジャンルを作り出している。しかしイスラム教徒は本質的に違う人間だという考えはおかしい」
 「文明は衝突するという考えには反対だ。世界は宗教や文化で細分化され、各文明は自らの中に閉じこもるといったようなイメージは正しくないと思う」

'08.3.31.人類学者、歴史学者・エマニュエル・トッドさん