散歩道<2332>

                 グローバル化の正体(2)@ナショナリズム・均質性が生む・「不仲の双子」         (1)〜(3)続く
                               しばらくこのグローバル化のテーマを続けたいと思います!                                                       
○ ○利益を得る層に差 
・・・・・中が悪い理由は?「一つは国家関係。黒船が日本のナショナリズム形成を促したように、大国のグローバルな展開に、劣位の国が対抗手段としてナショナリズムを作る例が多いのです」「もう一つは、グローバル化とナショナリズムでは、利益を得る層が違うこと。ナショナリズムは国内を均質化しますから、身分制廃止や福祉政策、格差の解消などに結びつきます。『同じ日本人なのに貧しいヒトを放置していいのか』というわけですね。だから中の下ぐらいの階層、具体的には保護貿易や補助金や外資規制で守られる農民や商店主、あるいは日本型経営のもとで終身雇用が保証されてきた会社員などがナショナリズムの受益層になります」
 「一方、グローバル化の受益層は上層です。大きな資本を持ち、投資先を探している人は外資規制撤廃を望みます。また外国語を話せる教養や資格がある人、国外でも高収入を得られる特殊技能を持つ技術者やスポーツ選手も受益層です。もう一つの受益層は移民労働者になる下層の人ですが、日本の場合はあまり問題になる数ではない」
・・・・・最近の日本で中下層の人がナショナリズムに引き付けられるのは、なぜですか。「理由の一つは、1992年以降の経済の停滞でしょう。日本のナショナリズムは明治以降いろいろな形で存在してきました。戦前は天皇と軍隊がナショナリズムのシンボルだっあt。それが戦後は通用しなうなり、高度成長期以降は経済がシンボルになった。80年代に日本型経営をもてはやす日本人論や『ジャパン・アズ・ナンバーワン』などの本が売れましたが、あれはあの時代のナショナリズムの表現形態だったと思います。それが90年代に挫折し、変わって歴史問題がシンボルになり、『新しい歴史きょうかしょをつくる会』ができたりしたと考えています。「しかし経済成長が止まり、産業が空洞化し、若年失業者が増え、新自由主義政策が導入され、貧困の格差が開いて移民排斥運動やネオナチが支持を集めるという現象は、西欧や米国が70年代から経験してきたことです。日本は30年遅れでそれを経験しているだけともいえますね」

'08.3.17.朝日新聞・慶応大学教授・小熊 英二氏

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