散歩道<2333>

                 グローバル化の正体(3)@ナショナリズム・均質性が生む・「不仲の双子」         (1)〜(3)続く
                                                                                
・・・・・ナショナリズムはつねに反グローバル化のスローガンを揚げるのですか。
 「とは限りません。グローバルスタンダードをうたって新自由主義政策を進めたサッチャーやレーガンは、同時にポピュラリズム的なナショナリズムでした。日本でも小泉元首相は新自由主義改革を進める一方、靖国参拝をした。よく聞く論調として、『アメリカでは国旗に敬礼しているから日本でも』とか、『日本人としてのアイデンティティーをしっかり持たないと国際人として通用しない』といったものがあります。これはナショナリズムとグローバル化が混交した論調ですが、やはり双子の兄弟ならではです」

○ ○地域崩壊も拍車
・・・・・ねじれた関係ですね。「むしろこの双子の共通の敵はローカリズムでしょう。交通通信技術と資本主義の発達でローカリズムを破壊し、地域共同体を崩壊させてこそ、人々に国家という想像の共同体に愛着を持たせることが出来る。又貨幣経済を浸透させたいグローバル企業にとっても、自給自足のローカル共同体は最大の敵です」
 「今の日本では、地域や親族の共同体が衰えているのが、ポピュラリズム的なナショナリズムが台頭する一つの要因でしょう。町内会や商工会も形骸化し
(けいがい)、自民党の集票マシンも機能しなくなり、刺客と呼ばれた落下傘候補がたやすく当選する状況ですから」
・・・・日本のナショナリズムはさらに強まるでしょうか。『予想は難しい。不安定な人が増えてもナショナリズムに走るとは限らない。犯罪や麻薬に走る人が増え治安が悪化する恐れの方が大きいかもしれない。先進諸国を見ても極右政党の得票率は1割が限界です。例えばフランスから移民を全員排除して国を運営するなど不可能だというのは少し考えれば分ることで、多数派の支持は得にくい。日本も中国の食品を全部排除したら生活できない。でも先のことは分らないですから」

'08.3.17.朝日新聞・慶応大学教授・小熊 英二氏