散歩道<2330>
              グローバル化の正体(3)・@文化 モデルなき時代波つかめ            (1)〜(3)続く

 ヒト、モノ、カネ、そして情報の地球的規模の広がりにとどまらず、国家や政治、文化、思想まで変容させつつあるグロバリズム。しかし、その姿はとらえにくい。グローバル化とは一体に何か。シリーズで考える。                           

○ ○遅い情報も重要
・・文化の多様性とグローバル化は、どんな関係にあるのですか。「グローバル化は、一面で文化の均質化を促すと同時に、半面で世界には多用な文化があることにも光りを当てた。国境を越える情報、ヒトの大移動、接触・交流の広がりは文化の多様性への意識を刺激し、その大切さの認識を高めた。グローバル化が期せずしてもたらした肯定的な面だ。ただし、世界には様々な文化があることを認めるだけでは限界がある。『多文化世界』をめざして、お互いがそれぞれの文化的魅力を高めあうよう努力する必要がある」・・・・・マイナス面は?「例えばスピード。情報化が中核にあるから、グローバル化は『速さ』に市場価値を置く。情報は速さを競って伝えられるが、そこには危険もある。事象や事物を深く理解するには、それなりに時間が掛かる。そうした『遅い情報』の価値を認識すべきだ」「米大統領選の候補者指名争いが展開されているが、テレビなどを通じて各州の予備選の動きなどが刻々と日本にも伝えられ、民主党のオバマ氏はどうした。クリントン氏はどうかと関心が高い。これも情報のグローバル化ゆえだ。しかし、その背景を知るには遅くても厚みのある情報がきちんと伝えられる必要があるのだが、複雑な中身が単純な形に加工され、早い情報として処理されてしまう。これでは背景が十分理解できず、薄っぺらなままだ。若い頃見た映画でも絵画でも、年を経て見直すと、また違った見方が出来る。文化の理解は、時間が醸成させるものでもある。こうしたスピード最優先の時代だからこそ、複雑な情報、じっくりと理解するための情報、つまり遅い情報の価値が逆に高まる、私は新聞にそこを期待したい」


'08.3.10.朝日新聞文化人類学者、文化庁長官・青木 保さん