散歩道<2299>

                   私の視点・偽装社会(2)・生産者マインドをもとう              (1)〜(2)続く

 情報社会での例をいうならば、インターネット上のホームページのアクセス数ほど意味のない数字はない。たくさんのアクセス数があるというホームページには影響力を感じてしまう。ところが、おなじサイトのなかでページを行き来した分まで数えれば、アクセス数は何倍にも膨らますことができる。これは偽装とはいえないが、奇妙な数字なのだ。そうした事情を知っていればだまされることはないのだが、複雑な技術だけに見抜くことはむずかしい。
 消費者の好みを知る「努力」を、生産者は徹底的にやってきた。しかし、消費者は生産者の立場に立とうとしてきたとはいえない。反対に、クレーマーのように、相手の事情を無視して理不尽な要求ばかりする者が増えている。
 偽装社会を変えていくには、消費者が生産者マインドをもって行動することだ。生産者マインドを持つ消費者とは、作り手の事情を意識し、まじめな思いのこもった商品であるかをうわさに頼らず自ら吟味し、本当にいいものを積極的に買う人のことだ。消費者が生産者マインドをもてば、作り手はその心意気を取り戻さざるをえなくなる。
 うわべを取つくろった商品に手を出すのはもうやめよう。生産者の思いが感じられる商品をみんなが買えば、いい作り手が育ち、わたしたちの社会を偽装から救うことができる。


'20.4.8.朝日新聞・国際日本文化研究センター准教授・山田 奨冶氏

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