散歩道<2293>

                         経済気象台(312)・公共投資から住宅投資へ

 米国の住宅市場が未曾有の活況を呈していたのは、ほんの数年前の話である。当時、米国の住宅金融関連に携わっていた友人が来日した。かえりしな、彼は感謝の気持ちを込めて、こう私に語った。「我々は日本に足を向けて眠られない。なぜなら,日本が米国の住宅担保証券(モーゲージ)*2などを購入し、米国にせっせと資本輸出してくれるからだ。そのおかげで、多くの米国人が低いコストでお金を借り、立派な家を手に入れた」。狭い日本の家が頭に浮かんで、妙な心境だった。現在米国で起きているサブプライムローン*1(低所得者向け住宅融資)問題は、米国のみならず、ヨーロッパの金融システムをも揺るがし、世界中への広がりを見せている。昨年夏に問題が表面化したとき、これほど問題が長引くとは、日本では深刻に受け取られていなかった。経済における住宅そして住宅ローンの位置ずけが、日米両国では大きく違うことが原因である。昨年末で、日本の住宅ローン残高は200兆円弱、それに対して米国は円換算して1200兆円弱である。経済規模を考えても、日本に比べ米国は2倍以上の残高水準となっている。米国では住宅投資が、日本の公共投資同様に、景気対策として重みがある。住宅投資の拡大は消費も増やし、経済を力強く牽引(けんいん)する役割りを担う。円相場が1ドル100円を割り、日本では本格的な内需拡大の必要性が高まっている。これまで米国に向けていた資金を、米国に倣って国内の住宅に投資することで経済成長が可能となる。そのためには税制を変更するなど、政策的な配慮が不可欠だ。もちろん、米国のような行き過ぎは避けなければならないが。

'08.4.3.朝日新聞


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