散歩道<2282>
経済気象台(301)・リスク・格付け・信用
日銀は今回も利上げを見送った。世界にもまれな低金利と年金不安が、個人マネーをリスク資産に駆り立てている。日銀の統計によれば、低金利の預貯金は736兆円ある。これが有利な投資先を求めて動き出した。しかし、うまい話にはとげがある。その点、格付けなどリスク評価の尺度が機能しないと、おもわぬ損失を被ることが、サブプライム*1問題で露天した。今日の日本市場では、次の2点に留意が必要だ。一つは為替のリスク。ここ数年、為替は内外金利差を背景に安定的に円安が進んでいた。このため、ほとんど為替リスクを意識することもなく、個人マネーは外貨資産への投資を積極的に拡大してきた。しかし、今年になって2月末と7、8月、そして10月の半ばと、たびたびヘッドファンドなどのよる円借り取引の巻き戻しによって、円が前面高となる状況が見られるようになった。いずれも短期間の円高でその後は戻っているが、為替が大きく変動して、場合によっては損失を被るリスクを意識せねばならなくなっている。また、ドルはサブプライム問題による史上の混乱もあって、金利が一層低下しており、円に対しても下落傾向が強まってきた。外貨投資にはこれまで以上にリスクを意識する必要がある。いま一つは日本版債務担保証券のリスク評価だ。大手銀行が中小企業向け貸し出しを証券化して、地方の金融機関などに販売した。ところが中小企業の業績悪化でこれが配当停止となるなどして値崩れしているという。米国のサブプライム問題と同様に、格付け機関がリスクを正当に評価したかが問われる。金融緩和の長期化でリスク認識が低下している面もあるが、一方で貸し出し債権の流動化を見込んで審査が甘くなり、証券化商品の格付けが正当になされないと、投資家に無用の不利益を与える。刺(とげ)をかくしたうまい話には要注意だ。
'07.11.2.朝日新聞
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