散歩道<2274>
けいざいノート・政治と経済政策(3) (1)〜(3)続く
なぜ路線が定まらない・自由主義を対立軸に
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自由主義とは、偽政者(政治家や官僚)の理性や能力には限界がある、という謙虚な認識から出発する。偽政者の理性には限界があるから、個々の国民が、市場で自由に生活を立てるしかない。そのためには、市場をできる限りフエアで自由なものにするしかない、というのが自由主義思想の筋道だ。かっては、官僚は間違いを犯さないという「官僚無謬神話(むびゅう」が常識のように受け入れられてきた。宙に浮いた年金問題が示すように、いまやそれがナンセンスだということを疑う国民はいない。国民の認識はまさに自由主義思想の出発点に立っている。それでも、いい人が首相になれば、あるいは官僚組織を変えれば、市場競争よりも、もっとよい政治が実現するのではないか、と考えたくなる。自由な市場競争で社会がうまく回る、という考えには人間の本能が反発する。自由主義の強度を高めるには、理性の限界という事実を、哲学的に突き詰めた議論が必要なのではかいか、という気がする。どんなに優れた政治家や官僚が出ようと、絶対に超えられない限界がある。たとえば、偽政者が相手にしなければならない政治とは、自分自身をも内部に含むシステムである。そこには逃げられない自己言及のループがある。こういうことを明らかにし、認識することで、初めて日本の自由主義の腰が据わるのではないか。
'08.3.22.朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏
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