散歩道<2244>

                             経済気象台(287)・サブプライムの損失

 サブプライム*1に起因する市場の混乱は。沈静化するどころか、ますます広がっている。欧米では、多額の損失を計上する金融機関が相次ぎ、短期金融市場では信用不安が深刻化している。このような混乱に伴う損失は、どれぐらいの規模になるのだろうか。OECDはA1t-A(サブプライム与信先よりも信用力がやや高い層向け住宅ローン)残高に一定の損失率をかけて、総額3千億jとはじいている。そのGDP比率(2%強)はS&L危機時(2%台半ば)匹敵するが、金融機関の自己資本や収益力の高さを考慮すれば、十分吸収可能な大きさであるとされる。しかしそれは、大事なことを忘れている。日本の経験から明らかように損失は、原債権がそもそも有するリスク(今回の場合は返済能力がない家計への融資、日本では行き過ぎた不動産融資)からだけでなく、景気悪化などに伴う資産の劣化によっても生じる。日本では景気の長期低迷やデフレに伴う不良債権の新規発生が巨額にのぼり、不良債権を処理しても処理しても、その残高は増え続けた。そして最終的には、バブル期における貸し出し増加額220兆円の4割強にあたる 98兆円が損失として計上されたのであった。アメリカでは、住宅バブルが加速した2000年以降、住宅ローン残高は5兆j増えた。単純計算だが、かりに日本と同じ比率で損失が発生するとすれば、その大きさは2兆jとなる。そのGDP比率は約15%であり、20%とそれほど変わらない。つまり、サブプライム問題のインパクトの大きさは、それによって景気がどこまで冷え込むかにかかっている言ってよい。そして、これまで住宅ブームに基づく借り入れ増と消費拡大によってアメリカ経済が成長してきたとするなら、その反動は決して小さくはないはずである。

'07.12.27朝日新聞

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