散歩道<2233>
歴史は生きている・民衆が動かした近現代史(2) (1)〜(3)続く
日清戦争に勝利した日本は、三国干渉に直面した。臥薪嘗胆(がしんしょうたん)という言葉によって、日本の民衆は帝国主義外交を支持すると同時に、国民も政府も黄禍論に敏感になっていった。政府は欧州の大国と協調しなければ国際社会で生きて生けないことを思い知らされ、日英同盟につながる。日本は初めて、日ロ戦争で初めて外交における広報宣伝の重要性を知り、ジャーナリズムの役割りや民衆の支持の重要性について認識を深めた。ポーランドやフインランド、ロシア帝国の反ツアーリズム運動を支援した日本の「工作」は、パブリック・ディプロマシーの最初の試みともいえる。伊藤博文の暗殺というテロが、日本による韓国併合の絶好の口実となった。民族運動が追いつめられてテロに走れば、弾圧する側にいい口実を与え、運動は挫折しかねない。今の中東のテロとも関連して考えねばならぬ視点だ。辛亥革命は、中国の革命運動の原点であり、毛沢東の共産革命につながる。ロシアの共産革命は、世界でのイデオロギー対立を生む。共産主義の「脅威」という宣伝がなければ、ファシズムやナチズムも人気を得られなかっただろう。20世紀の国際政治にデオロギー対立を直接持ち込む契機の一つともなった。
'08.2.25.朝日新聞・国際交流基金理事長・小倉和夫氏
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備考:散歩道<1848)陳舜臣氏が選んだ10大出来事とは、歴史は生きている・東アジア(1)・歴史は勝利者によって描かれる(1)〜(3)