散歩道<2230>

                          けいざいノート(3)・サブプライム診断                   (1)〜(4)続く 
                      
流動性不足ですむのか  公的資金枠で安心感を

 しかし、本当に問題は一時的な流動性の不足なのか。昨年春ごろまで、アメリカでは住宅価格が急速に上昇していた。住宅ローンでは当然住宅が担保になるが、その担保価値がすぐに上昇する流れが続いていたのである。住宅ローンを借りている人は、担保となっている住宅を転売すれば借金を難なく返せた。住宅価格の上昇が当然視される中で、サブプライムローンは、債務者の収入ではなく、担保住宅の価格上昇を当て込んだ危険な貸付だったことが徐々に明らかになってきている。サブプライムローンの債務者は、そもそも収入から借金を返済することができず、担保住宅の価格上昇によって返済することを予定していたといえる。ところが、昨年から住宅価格は下がり始めた。住宅価格が下がって、住宅ローンの返済不能に陥る債務者が急増しているわけである。もしも、住宅価格が再び上れば、債務者は再び返済可能な状態になり、危機は一時的な流動性不足だった、ということになるだろう。しかし、もしも住宅価格が下がり続けるならば、いくら返済の猶予をしても、そもそも返済不可能な状況は変わらない。むしろ、時間がたてば断つほど、不良債権が増え続けることになる。その場合、問題は一時的に資金繰りがつかなくなるという流動性危機ではなく、多くの人々や金融機関が借金返済のあてをまったくうしなってしまうという、恒久的な「支払い不能」の危機になるのである。

'08.2.23.朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏

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