散歩道<2210>

                          経済気象台(279)・正義感か、義務か
      
 コリーン・ローリーという名前に記憶はないだろうか。シェロン・ワトキンスあるいはシンシア・クーパーはどうであろうか。それぞれ米国同時多発テロ、エンロン
*1事件、ワールドコム*1事件に関し内部告発を行った女性である。多くの会社では、コンプライアンス体制確立の一環として、ホットライン、スピークアウト、ヘルプライン等々の名称で、内部通報制度を設けている。そこで会社におけるコンプライアンス違反行為につき、予め定められた通報窓口に通報できること、窓口は適切な改善処置を講ずること、通報者に関し秘密を保持することや不利益な取り扱いを禁止することなどが詳細定められている。内部通報制度は、社員にとっては自らが所属する会社のコンプライアンス体制へ参加していることを実感できる一つの方法であり、会社にとっては社員のコンプライアンス意識の高揚に資する制度である。しかし、この制度が、十分に活用され、目だった成果が上がっているわけではないようである。制度の活性化のためには、次の2点を解決する必要があろう。多くの内部通報規定を見ると、「通報することができる」と定められている。内部通報自体は別の面から見ると自らが属している組織や同僚に対する「裏切り」で、どうしても「密告」の暗いイメージが付きまとう。「できる」というのならば「しなくてもいい」「見ないふりをする」とはならないだろうか。だからといって「する義務がある」となると、労働協約や就業規則との関係が気になる。どう折り合いをつければいいか。また「通報する」行為自体を何と呼ぶか。英語ではWhistle-Blowing、警告を発すること、という。内部通報者に対し後ろ暗い思いをさせない、そして前向きかつ建設的な意味を持つ、何かいい言葉はないだろうか。

'07.8.17.朝日新聞

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