散歩道<2207>

                              経済気象台(276)・インドネシアの光りと影

 先日、10年ぶりにインドネシアを訪れる機会があった。ジャカルタの街には真新しいビルが林立し、道路を行き交う車もピカピカで、10年前とは隔世の感であった。市街地の交通渋滞は相変わらずだが、その原因は、かっての三輪バイクではなく、車の間を縫って走り回る真新しいホンダやヤマハのバイクというのが新鮮であった。若者やビジネスマンには携帯電話が必須アイテムであり、若者がメールの交換に忙しいのは日本と同じである。こうしたインドネシアの変貌振りに驚いて帰国したのであるが、その2週間後に再び訪れたジャカルタは全く別の一面を見せていた。集中豪雨により周辺を流れる河川が増水、あちこちで堤防が決壊し、ジャカルタ市内の道路をはじめ周辺の高速道路もいたるところで、冠水、通行止めとなっていた。市街地に立つ真新しいオフイスビルも、道路の冠水のため、閉鎖を余儀なくされていた。水道設備にも泥水が流れ込み、給水制限が行われ、伝染が水没して大規模停電が発生、感電による死者が出た。固定電話だけでなく、携帯電話網も会社によっては完全に普通となるなど、経済活動にも深刻な影響を与えていた。近年インドネシア経済は急速に発展した。しかし、今回の洪水で、このように非常に脆弱(ぜいじゃく)なインフラ基盤の上に成り立っているのが露呈した。発展を急ぐあまり、水道や治水、道路など国家としての基礎インフラがまだ追いついていないというのが実情であろう。世界4位、2億人以上の人口を抱えるインドネシアには、日本の家電や自動車メーカーが熱い視線を送ってきた。ただ、土木や建設、通信などの分野でも、日本の持つ技術に活躍の場はありそうだ。市民生活を向上させる分野でもあり、日本企業の高感度は高まると思うのだが。

'07.2.21.朝日新聞