散歩道<2202>

                          経済気象台(271)・提携交渉の意味

 米ゼネラル・モーターズ(GM)と日産自動車・ルノー連合による史上最大規模の提携交渉が不調に終わった。世界販売台数で1500万台を超える巨大自動車グループが出現する可能性があっただけに内外の注目を集めたが、不調という結果でGMの経営不振への関心が再び高まっている。GMは今年第2四半期に、リストラ対策費など特別費用を除くと、不採算の北米自動車事業は赤字幅を8500万jに圧縮した。05年末に発売した新型の大型SUVが発売直後は好調だったからだが、7月以降は再び在庫調整のための減産に入った。抜本的な販売シエア回復のためのめどは立たず、第3四半期に、再び赤字転落する可能性が高い。苦しいのはGMだけではない。米フォード・モーターとダイムラークライスラのクライスラー部門もそれぞれシエアが低下。今年1〜9月、米ビッグ3の米国販売シエアは計61.5%と同3.6%ポイント下がった。一方、日本自動車メーカーは、低燃費者を中心に米国市場における販売シエアを拡大。その伸びはビッグ3が失ったシエアに不思議と符合する。懸念されるのが、販売の明暗に端を発する日米間の軋轢あつれきだ。ビッグ3のシエア低下が続けば、さらなる工場閉鎖・人員削減が必要となり、不満の矛先が日本メーカーに向かうことも懸念される。日米自動車摩擦が始まった80年代以降、日本メーカーは完成車輸出から完成車・部品の現地生産の拡大に切り替え、また開発分野でも現地雇用を拡大してきた。それでも、米国市場に占める日本からの輸出車比率は12%.。06年に入ってからは、低公害のハイブリッドモデルや上級車を中心に2割以上輸出販売が伸びている。不調に終わったとはいえ、今回の提携交渉は日米間に緊張緩和効果をもたらした。決裂を機に、新たな緊張が広がらないことを願う。

'06.10.11.朝日新聞