散歩道<2181>

                            海水から真水 大モテ(1)                  (1)〜(3)続く
                    
 濾過膜、日本勢シェア5割 中国、廃水再利用で需要増

 海水を真水に変えるため、粘着テープ最大手の日東電工などが開発した「濾過膜」が世界中で引っ張りだこになっています。工業化と人口増が進む中国や原油高で潤う中東などで、海水を原料とした造水工場の建設が増えているためです。水不足が世界的に深刻化するなか、日本メーカーの技術が問題解決に一役かっています。

市場規模600億円 「数年前まで水道が使えるのは3日に1日。今は改善したが毎日6時間止まる」。来たアフリカ・アルゼリアの駐日公使アブデルラニ・セリアフさんは母国の水事情の厳しさを訴える。
 同国は雨が少ないうえに水道インフラも不完全なため、政府が03年から海水淡水化施設の建設を始めた。地中海沿いの人口90万人の都市ベニサフでは100万人分以上に当たる日量20万立方bの飲み水を作る施設の建設が進む。来年稼動の予定だ。
 その施設の心臓部が、海水をこし真水にする高機能濾過膜「逆浸透膜」。製造・販売したのは日東電工と子会社ハイドノーテイクスだ。この膜は、厚さ0.2マイクロメートル(1マイクロメートルは千分の1_)の合成プラスチックの層に、肉眼では見えないが穴が無数に開き、水分子だけを通す。海水の塩分を世界最高の99.8%、微細な有機物や発がん性物質は完全に取り除く。淡水化施設はほかにも中東や欧米などで建設が相次いでおり、逆浸透膜市場はこの数年、毎年10%強づつ拡大。06年度は600億円になった。シェア1位は3割強の米ダウ・ケミカルだが、日東電工グループが3割の2位。3位の東レなどと合わせ日本勢のシェアは計5割に上がる。日東電工の事業部長は「真水をつくれる膜の技術力があるのは、当社を含め日米の数社だけ」と話す。

'07.9.11.朝日新聞


視点:外交戦略に生かせ:この100年のうちに、地球の人口は4倍に増えた一方で、水の使用量は7倍増にもなった。水不足の国は中東やアフリカに集中しているが、今後は中国やインドでも生活に支障が出始めている。事態は世界的に深刻化しつつあるが、水資源豊富な日本では実感に乏しい。水はエネルギとともに国の存立の根幹をなす貴重な資源。水不足を解決する技術は日本の存在感を高める武器にもなる。ここは一つ産官連携で水つくりの外交戦略を描いてはどうか?

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