散歩道<2176>

                             時の肖像・キュービズム100年(3)           (1)〜(4)続く
                             時の古層」に宿る原初の美

 ○ ○パリで活躍した彫刻家ブランクーシの助手を務めたことがある日系彫刻家イサム・ノグチは、どんな芸術を賞賛するのかという問いに、こう答えた。[古ければ古いほど、アルカイックでプリミティブであればあるほど好きだ。なぜかわからないが、多分それはただ、芸術を繰り返し蒸留すれば原初的なものに立ち返るからなのかもしれない」 
 確かに、古代の素朴な彫像や土偶を前にすると、年代や出土した場所にかかわらず、時空の隔たりが一気に埋まるのを感じることがある。人が体一つで生きていたころの、無防備で決然とした姿が、遠い記憶を呼び覚ますのだろうか。
 ノグチは、原始的な作品を前にしたとき、「我々は都市に埋没していると気づかされる」とも述べている。

 
参考図書:ペンローズ・「ピカソ」、ワルノー「洗濯船」、マルロー「黒耀石の頭」、「イサム・ノグチエッセーと会話」、アシュトン「イサム・ノグチ」

'07.10.22.朝日新聞・論説顧問・高橋 郁男氏


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