散歩道<2161>

                         けいざいノート論争はめぐる(2)                (1)〜(4)
                   
苦い先送り、10年前にも  痛み避けず課題直視を
          

  96〜97年当時は、金融システムが旧住宅金融専門会社の処理(95年)の後で小康状態だったこともあり、不良債権は論争の中心テーマではなくなった。不況脱出のために財政拡大(公共事業などの景気対策)をするか、財政赤字を縮小するために景気対策を控えるか、という綱引きが政策論争の中心課題だった。当時の構造改革論も、財政再建のための行財政改革が中心で、中央省庁の再編や特殊法人の改革が論議された。現在、連日のようにメディアをにぎわしている天下り問題(公務員制度改革)や独立行政法人の改革は、当時の議論をほうふつとさせる。今日も、論争のテーマは、財政問題と公的部門の組織改革に集約されてきた。現在の日本経済で隠れた最大の課題は、労働市場の改革だろう。今年の初めころには経済財政諮問会議で「労働ビッグバン(労働規制の抜本的な改革)」がテーマに挙がったが、早々に立ち消えた。
 しかし、格差問題の本質は、正社員と非正社員(派遣労働など)の待遇差があまりに不公平だという不満にある。これは、正社員が既得権化して、非正社員が搾取されるという労働者間不平等の問題だ。ちなみに32歳の非正規労働者である赤木智弘氏は、誰もが口をつぐんでいたこの問題を真正面からしてきして大きな反響を巻き起こした(若者を見殺しにする国」双風舎)。
 
'0712.22.朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏

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