散歩道<2160>
                         けいざいノート・論争はめぐる(1)                (1)〜(4)
                   
苦い先送り、10年前にも  痛み避けず課題直視を
          

 最近の経済政策に関する政策論争を見ていると、10年たってまた同じところに戻ってきた、という印象を強くする。道路財源に見られるよう荷、地方への財政支出を増やすべきだとする積極財政派と、財政健全化のために歳出削減や増税を図るべきだとする財政再建派の論争は10年前にもあった。それだけではない。論争の枠外に、誰も触れようとしない重要な問題が存在しているように思われる。核心から目をそらしている、という点で論争の「精神構造」が10年前と類似しているのだ。

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10年前の隠れた重要課題は、不良債権処理を焦点とする金融危機の問題だった。今からみれば、1990年代の不況の真因は不良債権問題による金融の機能不全だったことに多くの異論はあるまい不良債権を抜本的に処理し、公的資金の注入と、民間からの大増資による銀行の資本増強を行って金融システムを健全化することが必要な処方箋だったが、それを実施できたのは、97年末からの金融危機の後のことだ。

'0712.22.朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏

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