散歩道<2156>
夕陽妄語・二〇〇七年回顧(1) (1)〜(3)
2007年多事。年末を振りかえってみると、国にでは参議院選で自民党が大敗し,安倍首相が突然辞職して、福田内閣が成立した。国外では日本を含む東北アジアで、朝鮮半島の非核化のため「六者協議」が進展した。しかし、中近東で米港が始めた戦争はやまず、その戦争を「平和憲法」を持つ自民党政府は指示してきたし(インド洋派兵)、支持し続けようとしている。・・・これが現況である。国内での基本的な政策について福田内閣にはどういう特徴があるか。それはまだよく分らない。いずれにしても、自民党の伝統的枠組みの外に大きく踏み出すことはないだろう。危機を脱っするには犠牲が必要である。犠牲は弱者に重く、強者に軽い。しかし同じ目標を追求するにしても、その手法には特徴がある。言葉使いは柔らかく、無用の挑発は避ける。現状分析は細心かつ現実的で。強引に先を急ごうとしない。例えば野党の欠席した議場で、続けさまに法案を通すようなことを繰りかえさないだろう。そもそも参議院で与党が惨敗したのは、有権者の多数が「改革」に反対したからではなく、改革の手口の傲慢さと急激さに、うんざりしていたからである。福田首相は、少なくともそのことを見むいていたに違いない。野党にとって、又批判的な市民にとっては、手ごわい相手が現れたというこっとになるだろう。同じことは外交政策についても言える。朝鮮半島を非核化するための外交的手段の重点は、鞭よりも飴、脅しよりも利益だろう。理由は朝鮮民主主義共和国(北朝鮮)と他の五カ国、特に米国との間の力関係に強い傾きがあるからである。
'07.12.19.朝日新聞・評論家・加藤周一氏
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