散歩道<2153>

                  私の視点・市場化の先に・個人尊重の旗を掲げよ(3)            (1)〜(3)続く

  アメリカのような社会的素地のない日本で、市場化と国家の福祉機能の縮小を同時に進めることは国民の不安をあおるだけだ。とはいえ、従来のような規制と補助金デアンサイダーを守るシステムはもう維持できない。新しい経済社会へのビジョンは、経済改革だけでなく、新らしい社会的公正を掲げ、約束するものでなければならない。競争だけでなく、個人を尊重するという意味での個人主義が日本には必要だ。
 まず第一に、個人を守る公的なセーフティネットとの組み合わせで経済改革を勧めるべきだ。どの団体に所属しているかで社会保障レベルが異なるような現行の仕組みから脱却し、国民に一律のセーフティネットがひつようだ。
 正社員と同じ仕事をしているパートや覇権労働者への賃金差別なども厳しく取り締まることで、個人を尊重する社会を作ることだ。こうすることで労働価格は市場価格で決り、個人を守るセーフティネットは企業ではなく公的な責任となる。
 第二に、高齢化社会を支える労働集約的なサービス供給と、労働人口の底上げをどうするかという問題では、外国人労働者の受け入れや女性(特に母親)の就業の促進が避けられない。安い労働力としての移民は、中所得者の働く母親たちにとっては家事労働の代替供給源ともなり、女性の選択肢を広げる。
 個人尊重主義を掲げることで、経済改革や移民問題についても今よりも肯定的な議論ができるようになるのではないだろうか。


'08.1.10.朝日新聞・ハーバード大准教授・マルガリータ・エステペス・アベ