散歩道<2152>

                  私の視点・市場化の先に・個人尊重の旗を掲げよ(2)            (1)〜(3)続く

  福祉関連では、宗教的な慈善団体などが重要な役割りを果たしているが、宗教と関係なく活動している団体も多い。アメリカ社会には、いったん市場で失敗した人を排除しない余裕がちゃんと残されている。古典的経済学が想定する純粋な市場は、こういった「社会」や国家の福祉機能抜きでは存在しないのだ。
 日本では冷たい社会だと思われているアメリカは、実は日本よりもっと温かい。個人を人格として尊重する社会的素地があり、個人よりも家族・学校・会社という団体を尊重する日本とは大きく異なっている。
 日本の団体尊重は恥の文化と表裏一体だ。じぶんんが「よい」団体に所属でさえすれば、あとはあまり社会的公正などについてはあまり考えない。事業の失敗や経済苦は「恥」であり、失敗した個人を配するのが日本社会ではないだろうか。国際的にみても驚くほど高い、経済苦による自殺率なども個人を大切にしない社会の帰結だろう。日本人が市場での競争を恐れるのは、そんな日本社会の冷たさゆえではないか。これは日本の将来を考えていく上で重要な点だ。
 

'08.1.10.朝日新聞・ハーバード大准教授・マルガリータ・エステペス・アベ

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