散歩道<2142>

                        世相(50)・心は脳にあると言い切っていい?

 心は脳にあると言い切っていい?
 かわいそうな話を聞いたら「胸が痛む」し、何か悪いことをしたのに認めない人には「自分の胸に聞いてみろ」といいたくなる。これらは、胸、つまり心臓に『心』があると思われていたときの名残なのだろうか。今日では、心臓は単なる血液循環のための器官で、そこに「心」があるとは考えられていない。心があるとしたら、脳であろう。心臓に心があると思われたのは、緊張したときなどに、心臓の鼓動が早くなったりして、あたかも自分の意思を反映しているかのような現象が起きているからかもしれない。心臓の動きは、自律神経やホルモンと関係しているらしく、そういった意味では、心とつながりがないともいえない。脳の仕組みもだいぶ分ってきたが、まだまだ分らないことは多い。こんにちでは、脳のどの部分がどんな働きをしているかは、だいたい分っている。心とひとことでいうが、感情と情感とは、厳密に違う。実際に脳においても、この2つは、生まれるところが違う。喜びや悲しみなどの感情は、脳のなかでいちばん発達している新皮質である前頭葉で生まれている。それとは別に、快感や不快感、あるいは恐怖や怒りといった情感に該当するものは、視床下部後部周辺でうまれている。理系の本