散歩道<2118>

                            経済気象台(267)米国次第の円相場

 一時107円まで下落したドルが、このところ反発を見せている。背景に二つの材料があった。一つは、サブプライム問題で経営が圧迫されていた米国大手金融機関に、オイルマネーが資本面で協力する、と報じられたことだ。当初、米国の金融不安を解消するためには、証券買取ファンドなどに公的資金を注入し、問題債権を吸収するほかない、とされていたが、政府が頑として公的資金を注入を拒んだ。これが金融不安を長引かせ、ドルの負担になっていたが、オイルマネーがこれに代わる役割りを果たし、金融不安が軽減される、との期待で米国株やドルが買われた。もう一つは、これまで利下げを躊躇(ちゅうちょ)していた連邦準備制度理事会(FRB)が、先週のコーン副議長に続いて、バーナンキ議長の発言を通じて、追加利下げを示唆したことだ。FRB賀当初利下げに慎重であった一つの理由は、利下げがドルの一段下げにつながり、これが原油価格を押し上げ、消費者の購買力を圧迫するばかりか、輸入品全般に価格上昇圧力となることを心配していた。しかし、金融不安が実物経済に与える影響が予想以上に大きくなりそうなうえに、原油価格がこのところ調整下げを見せていたことから、副議長が利下げを示唆したところ、むしろ金融不安を軽減するものと前向きに取られ、これが株やドルの買い戻しにつながった。結局,最近のドル一段安は、金利先安感よりも、米国金融市場の不安が大きな部分を占め、この問題の解決に結びつくものは、それが利下げであっても、ドル資産の買い材料と取られた。これで円高は一服したが、いずれも米国の事情によるものだ。米国がテロ戦争を進める中で、アラブ国家の資金に多くを依存できるのか、利下げで金融不安が収まるのか。米国市場の混乱や米株安が再熱すると、改めてドル安円高となるリスクを秘めている。

'07.12.7.朝日新聞

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備考:この項目・散歩道<2086>気象台(244)から散歩道<2102>気象台(258)まで、サブライムローン問題を取り上げています。